500年以上の歴史を持つ祖納。集落内には、多くの史跡や貴重な文化財が点在し、昔から人々の生活と密接に関わってきました。そして、祖先より代々受け継いだ伝統文化は、今なお大切に伝承され続けています。
古くからの歴史が息づく静かな集落を散策し、人気のアクティビティや有名な観光スポットとはまた違う、西表島の別の一面を知っていただければと思います。
それぞれの見どころをより楽しむために、祖納集落の歴史をまとめたこちらのページもぜひご覧ください。
目次
1.大竹祖納堂儀佐屋敷跡(おおたけそないどうぎざやしきあと)
竹富町指定史跡
祖納集落の祖とされている大竹祖納堂儀佐が住んでいた屋敷跡。現在は、小さな石碑が立てられているのみ。彼は、大陸から鉄製品を持ち込み、農具を作ったと言われています。それにより、農業が盛んになし、人々の生活が豊かになったそう。
祖納で行われるすべての神行事は、小道をはさんで向かい側にある彼を祀った大嵩根所(大竹御嶽)を中心に執り行われています。こちらが大嵩根所。
奥の区域は拝所となっており、地元の方々にとってとても神聖な場所。立ち入りはできませんのでご注意ください。
2.慶来慶田城翁屋敷跡(けらいけだぐすくおうやしきあと)
竹富町指定史跡
1500年ごろ活躍した祖納の豪族・慶来慶田城用緒(けらいけだぐすくようちょ)が住んでいた屋敷跡。こちらも、現在は小さな石碑が残るのみ。
八重山の歴史上有名な事件「オヤケアカハチの乱(1500年)」で活躍した功績により、首里王府から「西表首里大屋子(いりおもてしゅりうふやく)」の官職を与えられた人物。祖納に西表村番所を置き、西表島全島の中心とすることで一時代を築き上げたと言われています。
3. 慶来慶田城用緒之墓(けらいけだぐすくようちょのはか)
1917年に建立された慶来慶田城用緒(けらいけだぐすくようちょ)のお墓。当時のまま残っているわけではなく、現在は、改修され、彼の遺徳と功績を称える「慶来慶田城翁大宗の碑」となっています。
4.大平井戸(ウヒラカー)
町指定有形民俗文化財
住宅地にポツンとたたずむ井戸は、慶来慶田城用諸が作ったと言われている由緒あるもの。約500年という長きにわたり、祖納の人々の飲料水として、その生活を潤してきました。
大平井戸を方言で表すと「ウヒラカー」。また、「ピサダ」と呼ばれる水田地帯にある井戸ということから「ピサダカー」とも呼ばれています。
祖納でもっとも需要な祭事「節祭」では、3日目の“トゥミズの日”に、井戸の周りで水恩感謝の「ウヒラカーの儀式」が執り行われます。
5.ピサダ道(ピサダみち)
竹富町指定史跡
ピサダ道は「慶来慶田城翁屋敷跡」のある“上村”と、「大平井戸(ウヒラカー)」(別名ピサダカー)のある“下村”を結ぶ古道のこと。非常に雰囲気のある、道というか、上り坂と石畳の階段。
現在は高台である“上村”には人は住んでいませんが、かつて集落の中心はこの“上村”にありました。当時は、低地にある大平井戸やその周辺の田んぼへ往来する際に使われていたそうです。
500年たった今も、祖納集落から“上村”の耕作地へ通うのに利用されており、どの時代においても集落に密接した「歴史の道」であり、人々の生活と深いかかわりのある貴重な史跡です。
余談ですが、このピサダ道および、屋敷跡のある高台は、亜熱帯の植物や花々が生い茂り、まるでジブリの世界。ただ散策するだけでも面白いと思います。
6.新盛家住宅(しんもりけじゅうたく)
沖縄県指定有形文化財
新盛家住宅は、沖縄県内に現存する最古の木造茅葺き民家で、築150年程度と推定されています。
家屋は、柱や梁にはキャンギ(イヌマキ)など、茅を乗せる部分にはプシキ(ヒルギ)などの西表島産の木材が用いられています。また、釘や金具ではなく木の楔(くさび)を使用する「貫屋(ヌキヤー)」と呼ばれる伝統的な造りで建てられています。
集落内のほかの家々にもみられる、平たく薄いサンゴ石を幾重にも積み重ねたグシク(石垣)も特徴的。
7.まるま盆山(まるまぼんさん)
集落の象徴と言っても過言ではない、丸く小さな島。湾内を池に見立ててこの島を眺めると、池にある盆石に見えるところから名付けられたと言われています。なんともフォトジェニックな島。
シラサギやアマサギ、コサギ、などの海鳥がたくさん住んでいて、夜明けとともに、水田などのえさ場に向かって飛び、夕方、再びこの島に戻ってきます。この情景は、『まるまぼんさん』という西表島を代表する民謡でも唄われており、昔から変わらず美しい姿であったことがうかがえます。
8.前泊浜(まえどまりはま)
祖納漁港の横に広がるビーチで、 海岸は護岸されていますが、砂部分もあり、海水浴も可能。
1年を通じてもっとも重要な伝統行事「節祭(シチ)」はこの浜を舞台に執り行われ、多くの人々でにぎわいます。が、それ以外はほとんど人もおらず、非常にのんびりとしたビーチ。
島の西側にあるため、夕暮れ時の浜からの眺めはこの島で一番。海鳥たちのシルエットをくっきりと浮かび上がらせながら、まるま盆山の背後に沈んでゆく夕日…。美しすぎて言葉を失います。
9.タブの老木
竹富町指定天然記念物 沖縄の名木百選
祖納の歴史を見つめてきたタブの老木は、大竹祖納堂儀佐(おおたけそないどうぎさ)を祀る大嵩根所(大竹御嶽)の境内にあるご神木。集落の高台にありながら、長年に渡る風雨に耐え、まさに老樹の風格を漂わせています。 推定樹齢は240年と考えられており、幹は二股に分れておりそれぞれの周囲は4.3mと0.9m、高さは9mにも達します。
木々がうっそうと繁る小道の先にひっそりとたたずみ、御嶽(うたき)という神聖な場所を見守り続けているタブの木。樹木は近くで見ることができ、近づくとその迫力はより一層増します。
奥の区域は拝所となっており、地元の方々にとってとても神聖な場所。立ち入りはできませんのでご注意ください。
10.西表小中学校のセンダン
沖縄の名木百選
西表小中学校の校庭にある、樹齢100年を超えるセンダンの木。高さは9.7m、周囲は3.1m。
校門の外からもしっかりと見ることができる立派な古木は、大きく手を広げたような枝張りが校庭にほどよい影をつくり、風通し抜群の木の下は児童が集まる憩いの場となっています。
写真は秋の様子ですが、5月ごろ、新緑とともに大変美しい花を咲かせます。小中学校の敷地内にあるため、木に近づいて撮影等を行いたい場合は、職員の方の許可を得てからにしてください。
あと、学校で飼育しているヤギもかわいいです。
11.子午線ふれあい館(しごせんふれあいかん)
1997年に国土地理院沖縄支所により、祖納地区を通る子午線が東経123度45分6789秒という珍しい順並びの数字であることが発見されました。
このことを記念して建てられたのが「子午線ふれあい館」と「ふれあいモニュメント」。館内には西表島の星空や動植物を紹介するパネルを展示しており、食堂も併設。
毎晩19~22時の30分おきに、モニュメントから子午線の位置に沿ったレーザー光線が照射され、夜空に白い線が浮かび上がります。
ふれあい館のすぐ横にあるのがちくいざ。遠くからでも目を引くインパクトのあるモニュメントを目印に、ぜひ遊びにいらしてくださいね。
祖納みどころMAP(Google Map)
ご紹介したみどころをGoogle Mapにまとめています。祖納観光にお役立てください。